「秋の田の~」、かの百人一首の冒頭を飾るのがこの歌です。百人一首には「秋」という言葉を使った歌が十首ありますが、これは春=3、夏=3、そして冬=1と比べれば一目瞭然でダントツ。秋というのは日本人の心を大きく動かす季節のようです。

もっともこれには和歌ならではの裏事情もないわけではありません。「秋=飽き」といった掛詞が使いやすかったから。「飽く」というのは今の時代では「飽きる」とイコールの意味だと思われますが、古えの時代では「充分に満ち足りる」、「満足する」という意味でした。「秋」に置き換えてみると、「秋=満ち足りる、満足する」、つまりこういう季節なのでしょう。

秋は満月を愛でる季節でもあります。なぜかは、もう分りますね。